発達障害や自閉症、鬱でも期間工として工場で働ける?

期間工は、学歴や職歴を問わずに応募できる仕事として、就職の間口が広いことで知られています。しかし、いくらハードルが低く設定されていても、発達障害や自閉症、鬱などの症状を抱える人の採用に関しては、判断がとても難しいです。

今回は、これらの症状がある人の視点から、期間工の仕事の特性やマッチングなどを詳しく見ていきましょう。

期間工の採用条件について

期間工では、「満18歳以上」という年齢制限のほかに、求められるスキルや経験はありません。学校を卒業して初めて就職する人や異業種からの転職組など、様々な人が働いています。年齢や経験に関わらず働ける職種です。

ただし、障害や特定の症状がある人向けに採用枠が設けられていることはありません。そのため、発達障害や自閉症、鬱などの症状を抱える人が期間工に応募した場合、採用される可能性は限りなく低いと言えます。症状の度合いにもよりますが、受け入れ態勢が整っていない企業がほとんどでしょう。

期間工の業務の特性

応募する人のなかには、「工場でのライン作業」を得意とする人もいますし、「寮に住み込みで働く」環境を求める人もいます。このように期間工には、この仕事ならではの特性がいくつかあります。しかしこれらは、働き手の求める環境や条件によって、メリットにもデメリットにもなるでしょう。

アルバイトやパートに比べて、拘束時間が長い

アルバイトやパートであれば、ある程度、勤務時間の融通が利きます。しかしながら期間工は、企業が定めた勤務規則に従って働くので、決して自由度が高いとは言えません。

期間工は基本的に、1日8時間のフルタイム勤務となります。1日中立ちっぱなしの作業がメインで、昼夜の2交替制勤務の場合が多いです。深夜勤務が必須になっている企業がほとんどなので、体力的にもハードです。流れ作業ですが、拘束時間が長い分、相当の集中力や忍耐力が必要となる仕事と言えるでしょう。

ライン作業の工程で抜け漏れは厳禁

期間工に任される仕事は、自動車メーカーにおける四輪車や二輪車の製造工程です。それぞれの配属先では、一人ひとりに任されるライン作業のセクションが決まっているため、誰かが欠けてしまうと業務が成り立ちません。勤務中はずっと自分の持ち場を動かず管理することになるので、休憩時間やトイレに行くのも勝手にはできない状態になります。

ライン作業では、業務を滞りなく進めるために、それぞれが決められたルールに沿って、確実に業務をこなし、やり遂げる必要があります。何か一つでも抜けてしまうと、ライン全体に影響が及んでしまうので、責任感を持って取り組むことが重要です。

コストパフォーマンスが重視される

業務に慣れるまではハイペースに感じられて大変に思うかもしれませんが、一度覚えてしまえば、そのくり返しです。集中して取り組めば、周囲に迷惑をかけずに働くことができるでしょう。

しかし、ライン作業では、コストパフォーマンスが命です。スピード感を持って業務に取り組む必要があるので、いつも変わらない一定のペースが求められます。

独立した環境での作業

期間工の工場のほとんどが、特定の地方の工場地帯に位置しています。地元の人でなければ、自宅から通うのはなかなか難しいので、近場に寮が完備されていることが多いです。ォには、あらゆる年齢層の期間工が住んでいます。さらに、雇用期間ごとに人の出入りが激しく、いろいろな環境の変化が起こりがちです。

また、寮生活となると、一人暮らしと同じような生活になるので、周りのサポートが受けられません。掃除や洗濯、食事など、すべて自分で行うことになるため、自己管理の徹底が求められます。集団活動の中で規則を守りながら、自分のことをきちんと自分でこなせる、最低限の生活力が必要です。

期間工として働くことが難しい理由

ここまで紹介した特性を、「なんてことない」と感じる人もいるでしょう。むしろ「それが良い」と思ったからこそ、期間工という働き方を選ぶ人もいます。

しかし、発達障害や自閉症、鬱の症状がある人にとっては、これらの特性や環境がデメリットとなることが多いと言えます。どんな理由でアンマッチになってしまうのか、それぞれの症状と業務を照らし合わせながら、詳しく見ていきましょう。

発達障害・自閉症の場合

発達障害や自閉症の症状の一つに、「集中力を保つことが苦手」というものがあります。また、ルールを厳守しながら働くことを難しく感じる人が多いです。期間工は、大勢の中の一部として働く仕事です。

ライン作業の工程では、自分の役割を全うし、周囲とのコミュニケーションや連携をとることが重要になります。さらにフルタイムの勤務となると、長時間一つのことに集中しなくてはいけません。

大人になってから診断されることも多い、知的な遅れがないPDD(広汎性発達障害)やASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動性障害)の症状でも、社会性を苦手としていること、コミュニケーションがあまりうまくとれないこと、不注意や衝動性などの特徴があることがわかっています。これらが原因で、仕事中にも「適応障害」を引き起こす可能性があるとされています。

症状の表れ方は個人差があるほか、環境や状況によって変化します。しかし、期間工という特殊な環境において、これらの症状は勤務中にネックになってしまう可能性が高いと判断される傾向にあります。

鬱の症状がある場合

鬱の症状を抱えている人は、極端なマイナス思考に陥りがちです。また、仕事に身が入らなかったり、頭がうまく働かなかったりといった症状が現れることもあります。突然無気力になったり注意力が散漫になったりするのも、鬱が引き起こす影響と言えます。

気分の浮き沈みが激しい人は、「できる」と思っていたことが、急に「できない」となってしまうこともあります。そうした症状が勤務中に出ることを考えると、周囲のサポートや理解が不可欠です。

しかし工場では、期間工など多くのスタッフが働いているので、一人ひとりへのフォロー体制が十分とは言えません。何かしらの問題と直面したときは、自らアクションを起こす行動力がないと、不安や悩みが募っていってしまうでしょう。

また、鬱の症状がある人は、寝つきや眠りの質が悪くなったり、胃腸を壊したり、身体に痛みを感じたりと、身体的な影響が現れるケースもあります。期間工は体力が必要な仕事です。残業や休日出勤も多いため、体調面に不安がある状態では、安心して仕事を任せることは難しいでしょう。身体が資本の仕事だからこそ、常に万全の態勢で臨む必要があります。

まとめ

期間工は、フルタイムの業務をこなす体力があることや、スピード感を持って正確に作業を進めることはもちろん、忙しい環境のなかで自己管理をする精神面の強さも求められる仕事です。精神的にも環境的にも独立し、仕事に励むことができる状態でなくてはなりません。

発達障害や自閉症、鬱などの症状は、これらの障害を理解し、受け入れ態勢を整えている企業を選ぶと、うまく付き合っていくことができます。そういう意味では、期間工は、適切な支援を受けられる環境とは言い難いです。応募前に主治医や周囲の人にきちんと相談して検討しましょう。

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