期間従業員(期間工)の社会保険や健康保険、国民年金について

期間工として働くことを検討している人にとって、社会保険に加入できるかどうかは重要なことでしょう。できれば契約を更新して長く働きたいけれど、その間の社会保険はどうなるのだろう…と疑問に思う人もいるかもしれません。

実は、期間工にも社会保険制度が適用されます。そのため、健康保険や厚生年金、雇用保険、労災保険の4つに加入することになっています。ここでは、こうした期間工の社会保険について確認していきましょう。

なぜ、期間工なのに社会保険に加入できるのか?

3カ月で契約が終了する期間工でも、本当に社会保険に加入できるのでしょうか?従業員を社会保険に加入させるかどうかは、雇い主である企業が決めることではありません。企業には、国が定めた規定に従い、従業員を社会保険に加入させる義務があります。4つの保険についてそれぞれ、加入できる従業員の適用範囲について見ていきましょう。

健康保険・厚生年金

健康保険と厚生年金は適用ルールが同じなので、一緒に見ていきます。健康保険とは、病気やケガなどをした際に、治療費の大部分を負担してくれる制度です。また、厚生年金とは、歳をとったり病気やケガで働けなくなったりした場合や、一家の大黒柱が亡くなった場合などに、本人とその家族の生活を保障してくれる制度です。

厚生年金は70歳未満が対象ですが、この2つは、国籍や賃金に関係なく加入します。期間工に当てはまる条件は、次のとおりです。

  • 1週間の所定労働時間または1カ月の所定労働日数が、同じ職場で働いている一般従業員の4分の3以上であること

この条件に当てはまれば、パートやアルバイト、契約社員など、雇用形態にかかわらず加入できます。ただし、日雇いや雇用期間が2カ月以内の場合は、適用外です。期間工は雇用期間が3カ月以上の契約になるので、健康保険、厚生年金ともに加入することができます。

雇用保険

雇用保険とは、仕事を辞めた時にもらう失業保険のことです。加入の条件は、次の2つになります。

  • 31日以上継続して雇用される見込みがあること
  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること

どちらかの条件に該当する場合は、本人の意思に関係なく加入することになります。期間工はどちらの条件にも当てはまるので、雇用保険に加入し、基本的に1年以上の契約期間が満了したら、失業保険をもらうことができます。

労災保険

労災保険とは、労働者が就業中および通勤中に、災害や不慮の事故でケガをしたり病気になったりした場合、障害が残った場合、死亡した場合に、本人または遺族に対して保険金が支払われるものです。適用されるのは、その企業で働くすべての人です。

労働者が手続きをすることはなく、保険証や年金手帳のようなものもないので、きちんと加入しているのかどうかわからなくなるでしょう。しかし、基本的には労働者を雇っている企業は、よほどの小規模個人経営でない限り、加入することになっています。

ただし、マイカー通勤が禁止されているにもかかわらず車で通勤するなど、企業が決めたルールを守らないと、労災保険が適用されない場合があります。決められた通勤経路を大幅に外れないようにするなど、注意が必要です。

必要な手続きは?

健康保険は、会社から渡される「被扶養者(異動)届」に記入、捺印し、提出します。厚生年金は、年金手帳を会社に提出すれば、あとは会社が手続きをしてくれます。雇用保険や労災保険も、会社が手続きを行い、「雇用保険被保険者証」が渡されます。労災保険については、特に受け取るものはありません。

ただし、健康保険については、1つ注意点があります。期間工として働く前に、国民健康保険に入っていた場合、自分で脱退の手続きをしなくてはいけません。この手続きをしないと、健康保険と国民健康保険に2重で加入することになってしまいます。脱退の手続きは、住んでいる地域の役所で行います。必要なものは、以下の3つです。

  • 国民健康保険証
  • 新たに入った会社の健康保険証
  • 免許証などの本人確認ができるもの

健康保険証は、手続き書類を提出後、2週間ほどでもらえます。正式な保険証が届く前に「資格取得証明書」というものを発行してくれる会社もあり、これでも国民健康保険の脱退手続きはできます。また、扶養家族がいる人は、家族の分の手続きも必要です。

気になる保険料はどれくらい?支払い方法は?

支払いは、毎月の給与から引かれる形になるので、その分、手取り額が少なくなります。それぞれの保険料について、自己負担額がどれくらいになるのか見ていきましょう。

ただし、健康保険料、厚生年金保険料ともに、全国健康保険協会で定められている料率で計算しています。従業員700人以上の大きな企業の場合、企業ごとに組合健保を設立して独自の料率を使っているため、紹介している保険料と若干異なる場合があります。

健康保険

標準報酬月額と標準賞与額に、健康保険料率をかけた金額です。標準報酬月額とは、基本給のほか残業手当や通勤手当などの諸手当を含んだ月給額を、国が定めた保険料表の1〜30までの等級に当てはめて出した金額のことです。

また、標準賞与額とは、1年間で支給される報奨金の合計で、期間工の場合は満了慰労金や満了報奨金が当てはまります。

例えば、東京都で月給が230,000円〜250,000円の場合、標準報酬月額は240,000円、健康保険料率は9.96%となります。月々の保険料は、240,000×0.0996=23,904円で、会社と折半した自己負担額は、11,952円です。

厚生年金

標準報酬月額と標準賞与額に、厚生年金保険料率をかけた金額になります。例えば、月給230,000円〜250,000円の場合、標準報酬月額は240,000円、厚生年金保険料率は18.182%となります。月々の保険料は、240,000×0.18182≒43,636円で、会社と折半した自己負担額は、およそ21,818円です。

雇用保険

毎月の給与総額に雇用保険料率をかけた金額です。給与総額とは、社会保険料や各種税金を引く前の金額で、諸手当も含みます。

平成28年度の雇用保険料率は1.1%ですが、毎年度4月1日に改定されます。1.1%のうち、自己負担が0.4%、会社負担が0.7%となります。例えば、給与総額230,000円の場合、230,000 × 0.004 =920円となります。

労災保険

全額会社負担なので、給与から引かれることはありません。

派遣会社を通じて採用された期間工は?

紹介した4つの保険は、すべて派遣会社を通じて加入することになります。保険料は上記と同じ計算式になりますが、人材派遣健康保険組合で定めている料率を使っているため、若干保険料が変わります。

例えば、派遣会社の健康保険に加入すると、標準月額230,000円〜250,000円の人の保険料は、11,088円になります。

まとめ

健康保険、厚生年金、雇用保険を合わせると、結構な金額が給与から引かれることになります。「こんなに多くの保険料を払いたくない」と思う人もいるでしょうが、病気やケガをして通院することになった場合、健康保険に入っていなければ、一度に多額の治療費を支払わなくてはいけません。

また、雇用保険に入っていると、期間工を契約満了まで1年以上続けた後に更新をしなくても、すぐに失業保険がもらえるので安心です。一番多くの保険料を支払う必要がある厚生年金は、今すぐに必要なものではないですが、将来に備えてきちんと納めましょう。

※この記事に出てくる税率や金額は、平成29年3月現在の数字です。

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